APT Women ― 女性起業家たちの意思決定様式が機能する
- N9

- 1月14日
- 読了時間: 3分
N9 CEOの伊藤は、APT Women(Acceleration Program in Tokyo for Women)のシンガポール編の各種設計と運営を担当いたしました。
Enterprise SingaporeやJETRO Singaporeによるブリーフィング、DBS Bankへのオフィス訪問、Love, BonitoやBettr Coffeeといったシンガポール発ブランドの創業者との直接対話。4万人以上の働く母親のコミュニティであるMums@Work (Singapore)を通じた女性起業家とのワークショップ。現地の起業家、投資家、メディアとの夕食会、さらには現地の家庭への訪問も行われました。
これらは単なる視察プログラムではありませんでした。滞在中に、協業に向けた議論、パイロットの構想、中長期的なパートナーシップなど、実際に物事が動き始め、起業家たちが日本に帰国した後に向けた具体的なプロジェクトも、すでに形を成しつつあったといいます。
実際、このプログラムは参加者がシンガポールに到着する2か月以上前から始まっていました。渡航前の段階で、各起業家が誰と会うべきかを能動的に見極め、LinkedIn上でつながりを構築し、現地での出会いが偶然に委ねられることのないよう、仮説の精度を高める支援が行われました。
滞在の構成そのものにも、意図的な変化が組み込まれていました。前半は、在シンガポール日本国大使公邸で開催されたInnovators Night Outをはじめ、エコシステムの担い手たちとの対話を通じて前提を問い直し、問いを深めることに重点が置かれました。後半は行動へと軸足を移し、より深い対話やフォローアップ、そして起業家自身が主役となるOne&Co SingaporeでのBloom Night – Women Founders in Asiaへとつながっていきました。
この過程を通じて最も印象に残ったのは、多くの女性起業家に共通して見られるあるパターンだったといいます。それは表面的な性差ではなく、意思決定の構造そのものに関わるものです。多くの参加者は、数字やロジックと並行して、社会的な意味や信頼、長期的な関係性を自然に考慮に入れていました。感情は排除されるものではなく、ひとつの情報として扱われます。ネットワークは「利用する」ものではなく、「育てる」ものとして捉えられていました。
シンガポールのように、慣れ親しんだロジックが必ずしも通用しない、不確実で多文化的な市場においては、この特性が実質的な強みとなります。多くの場合、すべては「この人と一緒にやっていけるか」というひとつの問いから始まるといいます。
プログラムの終盤には、10名の起業家たちは、海外展開をもはや抽象的な言葉で語ってはいませんでした。経験と関係性、そして実際の意思決定を通じて、それを感覚として捉え始めていたのです。APT Womenは、単に女性を支援するプログラムではありません。こうした意思決定のスタイルやネットワークの築き方が、実際に機能するよう意図的に設計された環境です。その哲学がシンガポールの現場で機能する様子を目の当たりにしたことは、深い確信につながる経験となりました。
時間と知見、そして寛容さを惜しみなく分かち合ってくださったシンガポールの皆様に、心より感謝申し上げます。そして、常に動き続け、軌道修正を重ねながら、誠実に向き合い続けた10名の起業家たちと、この旅を共にできたことを、深く誇りに思います。
このプロジェクトを共に創り上げてくださったSher-li Torreyに、深く感謝申し上げます。

