Press release|アート&カルチャーをフックにスローツーリストを日本に導く「UNBOUND」の開発を決定。横浜市立大とも共同調査研究を開始へ。
- N9
- 4 日前
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Third Scope社の生成AI技術提供を受け、今夏ローンチを目指す。

世界的に高まりを見せる「スローツーリズム」の潮流を背景に、N9 PTE LTD(本社:シンガポール、代表:伊藤隆彦)は、日本各地の文化や芸術資源に光を当てるインバウンドアプリケーション「UNBOUND」の開発を発表いたします。本プロジェクトは、横浜市立大学との共同研究の一環として、訪日外国人旅行者の“旅のトリガー”を解明しながら、Third Scopeによる生成AI技術の提供を受け実現します。
*Third Scope:AI技術を活用し、企画から開発、テストまで一貫した製品開発を行っている。特に、機械学習モデルの最適化と自動化プロセスの導入に注力し、高品質なAIソリューションを提供しています。今回「UNBOUND」ではThirdScopeが開発したAI基盤「Revi」を導入。日本・イギリス・シンガポールの3つの拠点で独自に開発を進めている特定の専門分野に特化した会話型AIシステム。基本的な会話ルールをベースに、特定の専門分野に応じたデータを学習することで、より高度な専門的な対話能力を実現している。
1|企画の背景
近年、“よりゆっくり、より深く旅を味わいたい”というニーズが、世界中の旅行者の間で高まっています。これは「スローツーリズム(Slow Tourism)」として知られ、移動の効率性や物理的な訪問地数よりも、その土地に滞在しながら文化・歴史・人との交流を深く体験することに重きを置くスタイルです。欧州ホテルスクールEHLのレポートでは、スローツーリズムが「自然と文化への没入型体験」「サステナビリティ」「地域社会とのつながり」などの要素を内包しており、ポスト・パンデミックの旅の新潮流として広がっていると指摘されています。(出典: EHL Hospitality Insights, “What is Slow Tourism?”)また、Hiltonの2024トレンドレポートでは、「観光地を駆け足で巡る時代は終わりを告げ、ローカルの生活に根ざした旅を求める“スロートラベラー”が急増している」と分析されています。(出典: Hilton Trends Report 2024 “Slow Travel”)そしてForbes誌は、「象徴的な観光名所よりも、時間をかけて地域文化に触れる旅の満足度が高まっている」と伝え、スロートラベルが富裕層だけでなく、Z世代にも支持されていると報じています。(出典: Forbes, “The Beauty of Slow Travel”)
こうした文脈の中、ただ「人気観光地を巡る」のではなく、「小さくてもまだ知らない日本の文化に出会い、人に触れ、ゆっくり過ごす」ことに価値を置くこれからの旅の在り方と向き合う中、ただの移りゆくトレンドのひとつとして発信や評価するのではなく、旅行者のトリガーが何か向き合う必要があると強く感じ、「UNBOUND」プロジェクトの立ち上げを決定しました。
2|「UNBOUND」とは
UNBOUNDは、Art & Cultureを核とし、日本の地域文化や芸術を旅の主役として再発見することを目的とした生成AIベースの旅行プラットフォームです。ユーザーは、訪問エリアや期間、予算、関心テーマ(アート、伝統工芸、建築、郷土芸能、地域史など)、人数構成などの情報を入力することで、その人だけのスロートラベルプランを知ることができます。生成されたプランはWeb上で閲覧・保存・シェアなどが可能で、ユーザー同士が旅の発見を共有できるコミュニティ的機能も備える予定です。UNBOUNDでは訪日外国人向けにおすすめのツアーをコラムでも発信します。コラムではユーザーが公開したプランも紹介していきます。
UNBOUNDユーザーは、以下のようなスロートラベラーの利用を想定しています:
- ガイドブックに載らない本物の文化に出会いたい
- 混雑した観光地より、静かな地域に足を運びたい
- 地元の人と交流しながら、地域の物語に触れたい
- サステナブルで丁寧な旅をしたい

また、UNBOUNDを通じ得られたデータを元に、横浜市立大学と共に「旅のトリガー」が何かを研究しつつ、日本各地の自治体や文化施設、観光事業者と連携し、以下の取り組みを進めていきます:
- 地域文化・芸術資源のデジタル化と観光デザインへの活用
- 旅行者の関心・属性データに基づく地域プロモーション戦略の共同策定
- 地元の芸術家、伝統工芸職人との連携による体験型プログラムの創出 など
たとえば、小さな私設美術館、代々受け継がれてきた工房、古民家を改装した文化施設など、これまで光が当たりづらかった文化資源を、スローツーリズムの文脈で再編集し、旅行者と地域を繋げていきます。
3|コメント
有馬 貴之 准教授(横浜市立大学 国際教養学部 都市学系 観光マネジメント研究室)
「今日の観光研究においてデータを用いた分析は世界的なトレンドとなっており、多くの観光研究者が様々なデータを扱い、『観光』現象の真理追求に挑んでいます。そのことは地域と観光客双方にとってWin-Winとなる観光を生み出すことにつながるものですが、事業者と連携しデータを取得、研究する観光研究の試みは決して多くありません。今回の産学官連携を念頭に置いたUNBOUNDの開発によって観光心理や意思決定に関わる重要なデータを得ることができ、そのことが観光のより科学的な理解、そしてビジネス、ひいては各地の持続可能な観光による地域振興に貢献できるのであれば、それはこれまでの観光ビジネスとは一味違った先駆的な事例となるといえるでしょう。」
UNBOUNDは2025年夏頃の正式ローンチを目指し、プロトタイプの開発とパートナー連携を進めています。今後の詳細については、順次発表予定です。この取り組みにご興味のある地方自治体、企業、文化機関の皆さまからのご連絡を心よりお待ちしております。( taka@nmbrnn.com まで)