
2025年2月27日、石川大使主催の天皇陛下65歳のお誕生日を祝うレセプションに、N9 として招待いただきました。天皇誕生日祝賀レセプションは、毎年各国の大使館が主催する天皇陛下の御誕生日を祝い、日本の魅力を伝えるイベントです。当レセプションには、シンガポールの政財界・文化人、各国外交団など約800名が参加されました。このような機会にお招きいただけることは光栄でありながら、N9としての使命を改めて確認する貴重な時間となりました。
大使のスピーチでは、今年のシンガポール建国60周年(SG60)を祝い、2026年の日星国交樹立60周年(SJ60)への期待が語られました。また、訪日シンガポール人の急増、新興技術分野での政策・ビジネスの協力など、多方面での関係強化が進んでいることが紹介されました。特に、大阪・関西万博2025の話題は印象的でした。大使からは、シンガポールが全参加国の中で最も早くパビリオンの建設を完了させたことへの言及がありました。僕自身、大阪市・兵庫県・関西経済連合会のイノベーションアドバイザーを務めており、万博の成功に向けてさらに貢献したいという思いを強くしました。シンガポールパビリオンでは、多民族・多宗教社会がどのように共生しているのか、そのリアルな日常が紹介される予定です。シンガポールは、異なる文化や価値観を持つ人々が共存する世界的にも稀有な国です。その共生の在り方は、社会の持続可能な発展を考える上で、多くの国々にとって学びとなるはずです。N9としても、教育や文化の分野でのさらなる交流を促し、人々の間の感情的なつながりを築いていきたいと考えています。
また、レセプション会場には、日本の地方自治体や企業ブースが並び、東北地方のフルーツやソーセージ、日本各地の地酒が振る舞われるなど、日本の食文化を通じた交流の場ともなっていました。このような「体験を通じた相互理解」は、ビジネスにおいても欠かせない要素だと感じます。異なる価値観を尊重し受け入れる寛容な社会と平和な世界を築くためには、国際社会のさらなる協力と連携が不可欠です。シンガポールと日本の関係は、そのモデルケースになり得ると確信しています。
一方、シンガポールと日本の関係は単なる経済・ビジネスの枠を超え、文化・社会・人材の交流を通じ深いレベルで結びついていますが、両国の間にはまだ埋めるべき「認識のギャップ」や「文化の壁」がとても多く存在すると感じています。これまで私たちは、シンガポールのスタートアップなどが日本進出するサポートもしてきましたが、日本の企業や投資家がシンガポールを「市場」ではなく「パートナー」として捉えたとき、より強いシナジーが生まれることを目の当たりにしてきました。国を超えたビジネス展開において、文化的な違いは時に障壁となることもありますが、それを理解し乗り越えた先にこそ、本当の成長と共創のチャンスがあります。今回のレセプションを通じ、「まずマイナスイチをゼロにする。そして現地の文化的な壁や認識ギャップを丁寧に解消し、あるべき基盤を共に築いた後、ゼロイチ(0→1)を共に進む」—— この考え方が重要だと強く感じました。 最後に、この素晴らしいレセプションを企画・運営された石川大使、関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。